魅惑の僕を求めて
女side


今日、噂の洋館に来てみちゃったよ


暗〜い洋館の中を私のローファーだけが響いてる



中は凄く不気味



どこかの部屋に入る度にビクビクしてる



しばらく館内を歩き回ってみたけれど
何もないわね


強いて言うなら、家具や装飾品はバッチリ揃っていることぐらいかな



コツ…コツ…



出口に向う途中

ある事に気付いた


いろんな部屋を回っている時は怖くて気づかなかったけど
この洋館、埃がなかった……



入った時もそうゆう臭いはしなかったし、目で見ても綺麗に掃除されていた



ゾクリと背筋が凍った



私の足音以外で物音がした……



頭からは冷や汗なる物が流れて落ちた


物音はどうやら靴の音の様だ


どんどん大きくなる音

私の心臓は大量の血液を一気に体内を循環させる

冷や汗は止まらず気が付けば大量になっていた



コツ…コツ…コツ…コツ…コツ…コツ…コツ…コツ…コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ…



ゆっくりと歩いていた私は遂に怖くなって走り出した


後ろの足音も走り出した



徐々に詰められる私と得体の知れないその物との距離



もう、ダメ!
追いつかれる!


心の中は諦めと後悔でいっぱいだ


トン



「ひ…ぃいああああぁぁぁ!!!!!」



肩に何かを置かれた


私は思わずキンキン声で悲鳴を上げた



「……大丈夫デスカ?」

半ば朦朧とする意識の中、片言の日本語が聞こえた



さっきの衝撃で全身の筋肉は抜けてしまった様に動かなくなった



崩れる様に倒れる私をひんやりと冷たい何かが受けとめたようだ



私はそこで繋ぎとめていた意識を飛ばしてしまった


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