この空の下でめぐり会う奇跡


お風呂から上がると旅の疲れか
虎太朗はすぐに寝付いたようだ。


再びリビングに顔を出したまどか。


「最低だなお前って
あの男は行きずりか?
それとも隠れてコソコソと
会ってたのか!」


「あの・・・
あ・・・」


なかなか答えないまどかに苛立った。


「ちゃんと答えろよ!」


「あたし・・・ずっと
一樹と暮らしてても
仮面夫婦みたいで寂しくて」


「はぁ?さみしい?
好き勝手してたじゃないか!
それをオレが悪いように言うなよ」


会社の飲み会だの
女子会だのってよく家を開けていた。


「それは・・・家に居ても・・・」


「家に居ても?つまらないから?
外に出て浮気か?」


「一樹はあたしのこと
愛してなかったでしょ?
いつも間に距離を感じてた」


「お前のこと思ってなかったら
2年も夫婦してない
今だから言うけど
いい奥さんだと感謝してるし・・・」


感謝してる・・・。


オレの口から自分の想像してないことばを
聞いたまどかは泣き崩れた。






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