とけるほど、抱きしめて
大切な人
マキをやっと手に入れた。
恥ずかしそうに、真っ赤な顔して
俺を見る。
ずっと抱きしめていたい。

触れたら壊れそうな瞳。
柔らかい唇。

マキ…お前に溺れてしまいそうだよ。

誰にも負けないくらい愛してる。

だから、ずっと側にいろよ。





カナちゃんが、店にやって来た。
「今晩は、圭祐さん、
二人っきりでお話しいいですか?」

マキとの事
キチンとするって約束
今しかないと思った。


「いいよ。近くの公園で待ってて」
「わかりました。」

店の仕込みと売り上げの計算をして、
店を閉め、約束の場所に向かった。


外灯が照らすベンチに、カナちゃんが
座って居るのが見えた。

「ごめん。待たせたね。」

彼女は、目に涙を溜めて俺を見る。

「私、圭祐さんが好きなの!
マキになんて渡さない!
初めて会った日から…。」

「ごめん。マキじゃなきゃ駄目なんだ。
だから…。
カナちゃん、君の気持ちには、応えられない。本当ごめん。…。」


「イヤー!絶対諦めない。」
「マキさえ居なければ…。

「カナちゃん……。」

「ねえ、圭祐さん、抱いてよ。
私を抱いてよ。」

バンっと俺の胸にしがみ付いた。
グラっとした瞬間、
彼女の唇が触れた。

そっと、彼女の肩を掴かみ引き離す。
「マキは、悪くない。俺が好きになってしまったんだ。わかって欲しい。」

カナちゃんは、唇をグッと噛み
泣きながら通りに向かって走って行った。

誰かが、それを携帯で撮影していた事に気ずかずに。



< 20 / 35 >

この作品をシェア

pagetop