とけるほど、抱きしめて

幸せのかたち

圭祐さんと会うのが辛くて、電話もメールも拒否していた。

隼は、いつもと変わらず私を見守ってくれて、私らしく仕事が出来ていた。


来月、発売されるワンピースが
出来上がり、会議室には、各、雑誌の担当者たちが集まっていた。

コンセプトや着てもらうモデルさん、
写真のカット数、一緒に押す予定の
小物、バックなど、
バタバタと忙しくしていた。


私は、次の販売を予定している
春ファッションと題して
ミディアム丈のスカートと
ジャケットをデザインしていた。
色合い、質感、色々想像しながら。



「あ〜疲れたぁ〜‼︎」
「さぁ帰ろう。」「お先です。」
残っている人達に声を掛けて
会社を出た。


駅に向かって歩き出した。
私に並行して白のセダン
が止まった。
ドアが開き圭祐さんが降りてきた。
「マキ…。」
駆け寄り、強く強く抱き締めた。
「会いたかった。すごく、すごく、」
今迄、張りつめていた気持ちが
いっきに溢れ出す。

「誤解なんだ。あれは、」
圭祐さんの車に乗せられて
高速道路を走った。

「連れて行きたところがあるんだ。」

目的地まで行く間、圭祐さんは、
あの出来事について話し始めた。

「…。だったんだ。だからマキが思ってるようなことは絶対ない。」

真剣な圭祐さんの言葉に嘘はないと感じた。

連れて来られた場所は、小高い丘にある
公園だった。

「ここは、子供の頃良く来た場所なんだ
大人になって、彼女が出来たら一緒に
夜景を見にきたいって思ってた。
でも、恋愛に臆病な俺には、そんな機会なくてね。試しに、
いろんな女と付き合った。でも本気で
好きになるなんてなかった。」
「身体だけの関係、上辺だけの彼女。
軽蔑する?」
「しないよ。みんな色々あるもの。
だから、今、こうして圭祐さんと出会えた。」

「ごめんなさい。信じてあげれなくて
なんだろう。涙が出ちゃうよ。」
ふわっと、圭祐さんが私を引き寄せ
口づけた。今までの時間を埋めるように
激しく何度も角度を変えて、私の口の中に熱い舌が入ってくる。

「う、ふぁ〜、」
「可愛い。」圭祐さんが笑った。
「マキ…。壊れるくらお前が欲しい

「壊して…。」
「圭祐さんの愛でとかして」



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