とけるほど、抱きしめて
小さな希望が私を突き動かす。
とにかく今は、どんなイメージで行くか?
生地の手触りにたいして提示されたものは、繊維の芯がかなりしっかりしたもの
そこからあの柔らかさをだすのは至難の技。
色んな事を考えていたら、時間はすでに
7時を周り、残っているのは、課長と私だけだった。

カタカタと資料を作るキーボードの音、
カサカサとめくられるデザイン画の音、

私も、静かに椅子を引き立ち上がった。

「課長、お先に失礼します。」
声をかけてカバンを肩に
入り口へと向かう。

「月乃、俺も終わる。飯行くかぁ‼︎
知り合いがやってるお店なんだよ。
美味いから付き合えよ。」

「でも、コサージュの生地とデザインを考えたいので」
課長は、立ち上がって
「今から、同期なぁ!」
言われるまま、エレベーターに乗り一階へ降りた。
向かいのビルの間を抜け表通りまで歩くと、そこには、カナと行った、そう…
圭祐さんのお店だった。

どうしよう、会いたくない。
隼が
お店のドアを開けて中に入って行く。

「よっ!圭!飯食わせろ!」
「なんだ。隼か!」
「なんだはねぇだろ!」
「俺の同期で部下の月乃。」
隼の後ろからそっと顔をだした。
「今晩は…。」
「アレ?マキちゃん?」
「圭!お前マキの事知ってるのか?」
「ちょとなぁ」と圭祐さん。
俯いたまま何も言えずに居た。

「月乃!ところで、デザインの構想は
どんな感じなんだ?」

「イメージがつかめるかどうか分からないんだけど、明日は休みだし薔薇園に
行って見ようと思って。」

「だったら、俺も、付き合うよ。」

「1人で行くから、大丈夫だよ。」

「迷子になるぞ⁈お前!若干、方向音痴だろ⁈」ぷっと笑う‼︎

「失礼なぁ!大丈夫です。行けますから」そんな、言い合いをしていたら、

圭祐さんが、「俺、あの辺良く知ってるから、連れて行ってあげるよ。」
隼が「俺が行くから。」

そんな二人に「本当いいですから。1人で大丈夫ですから…。」

不意に、隼の携帯が鳴った。
「もしもし?あぁ。俺のPCのフォルダNo.3に入ってるはず。
だったら、うん、じゃぁ
今から行くから。」

「わり〜。トラブルだ。社に戻るわぁ!
月乃!1人で帰れるかぁ?」

「俺が送っていくよ。もう少ししたら、店閉めるから。」

「わるいなぁ。圭、月乃の事頼む。
じゃ、俺、行くわ。」











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