未定
「あ?」
すぐ近くで低い声が聞こえてきた。
不機嫌そうな声に顔を上げると、目の前の男と目が合った。
男は眉間に皺を寄せている。
あまりにも綺麗で整った顔に、思わず見とれてしまった。
…この人すごいモテるんだろうな
なんて、顔を見ながらどうでもいいことを考える。
一見ホストかなと思えば、案外スーツもネクタイもきちんとしている。
でも近寄りがたい雰囲気があった。
不思議な人
直感的にそう思った。
「顔じっと見やがって…あ?」
そして二度目の低い声。
気づけば、私の視界には男の顔がドアップに写されていた。