一目惚れ
3
「龍。おまえ、この頃女日照りなんじゃね?腹も減ったし。」
平日の遅い昼飯とナンパに付き合えと、
兄貴のヤスさんが運転する車に乗り、
なにげに歩道を眺めていると、
あの女がひとり、歩いていた。
ショッピングモールへと入って行く。
「兄貴、悪い。ここで降りるわ。」
「おい。龍。もう少し先に行かないと…」
「……いいから……停めてくれ。」
仕方なく車を停めたヤスさんに礼だけを言うと、
なにか話しかけられたが、
ほかにはなにも言わずに、あの女を追いかけた。