一目惚れ

バッグもなにも持っておらず、

上着のポケットに手を突っ込んだまま。

格好のわりには品良く脚を揃えて

少し左側に傾けていた。

電車の中の吊り広告を、

爛々と輝く瞳でみつめる横顔。

いつしかその化粧っ気のない横顔に釘づけになった。
< 4 / 19 >

この作品をシェア

pagetop