コンプレックスさえも愛されて。
「…いっぱい沙耶香に触れてすっげぇ嬉しいんだよ。ごめんな?」
突然顔を近付けて、耳許に唇を寄せた彬さんの言葉。
すぐ傍から聞こえる声も、抱き締めるみたいに近付いてきた身体も、心臓がおかしくなるくらいドキドキして身体に悪いと思う。
真っ赤な顔でチラッと彬さんを睨む。
分かっていてやっている彬さんは口許を隠して笑っていて、そうしている合間にもまた手の甲を撫でられて、ハッとした瞬間に彬さんは声を上げて笑い出した。