コンプレックスさえも愛されて。



「で、でもあの…胸が小さいのはどうにもならないっていうか…」

一番のコンプレックスをそのままにはできなくて、ごにょごにょと必死に伝えれば、沙耶香怒るなよ?と彬さん。




「抱き締めりゃ、胸がでかいか小さいかくらいは分かるっていうか……あ、おい!逃げんじゃねぇよ!」
「だ、だって」
「ちゃんと続きあるんだから聞けって!」
「でもー」
「でもじゃなくて!」

彬さんの衝撃の告白に腕の中から逃げ出そうともがく。
でも彬さんは足も使って私を拘束して、とてもじゃないけどその場所から逃げ出す事は叶わなかった。




「今って訳じゃなくて、会社で抱きしめた時から分かってたって」
「や、酷い!」
「酷くねぇよ…だって俺、別に巨乳好きじゃねぇし」
「え?」
「え?って…」

思わず顔を捻って彬さんを振り向けば、目が合った彬さんは、少し困ったみたいな顔をして笑っていた。


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