コンプレックスさえも愛されて。
そんな風に始まった私たちだったけど、会社の社則と、彬さんの多忙さで、ほとんどデートなんかできなかった。
新しいプロジェクトが進んでいたから、彬さんは土日もないような状態になっていた。
付き合おうと言われてから二ヵ月半。
残業の時間に応接室に連れ込まれたり、書庫から過去の資料を持ってきてくれと言われて行った書庫に彬さんが追いかけてきたり。
そんな風にして、たった数分の短い逢瀬は、抱き締められて唇を重ねる。
それだけで終わってしまうけれど、私たちにとっては大切な大切な時間だった。