チョコレートなんか大嫌いっ
『いやぁ、なんかバタバタしちゃってごめんねぇ』
『べ、別に…』
『ケーキでもご馳走しようと思ってたんだけどさぁ』
『え?なんで』
『えー?だって奢るって約束したじゃぁん』
『……ぇ』
『ごめんねぇ、また今度にさせてぇ』

驚いた。
本当に奢ってくれようとしていたなんて。

憂鬱な気持ちが嘘のように晴れていった。
と、同時に怖くなった。
このままだと葵ちゃんのことどんどん好きになってしまう。
離れがたくなってしまう。

そんな私の気持ちとは裏腹に葵ちゃんはカラッと笑って『また明日ねぇ』と言ってくれた。
何故だか頬が熱くなる。

不安と期待、恐怖と喜び
自分の中で理解出来ない感情が渦巻いていた。
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