チョコレートなんか大嫌いっ
『腹減ってるか?』

ぐるぐるぐるー

『ブプッ』
『いや!あの、これは…!』

ご飯の話をされ思い出したように体が空腹を訴えてくる。

『腹で返事しちゃうほど腹ペコだったのか?』
『……っ』

恥ずかしくて返す言葉も見つからない。
でもめちゃくちゃ笑われたのにイヤな感じではなかった。
裏側に悪意の感じられない素直な言葉は居心地が良く、意外と子供っぽい無邪気な笑顔に自然と口角があがる。

『なんか見た目だけじゃなくて雰囲気変わったな』
『へ?』
『誉め言葉』
『は、はぁ』
『すぐ飯作るからマキは今日は助手な』
『は、はい』
『これ切れるか?』
『はい!』

家庭科の調理実習みたい。
でもこんなに楽しい調理実習は初めてだった。
私以外のみんなはいつも楽しそうで、邪魔にならないよう洗い物に専念して気配を消してやりすごす。

笑いながら人と料理を作る日がくるとは思いもしなかった。

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