チョコレートなんか大嫌いっ
憂鬱な気持ちが邪魔をして学校に遅刻してしまった。
しかし幸いな事に一・二限目が体育だったため教室には誰もいない。

ほっと息を吐き席に座って机に突っ伏す。
このまま体育はさぼろう。
そう思った時、教室の扉が開いた。

慌てて身体を起こす。

『あれぇ』

入口を見ると髪の色が明るめで制服をお洒落に着崩した女の子が立っている。
スクールカースト的には1軍にいるようなタイプだろう。


普段全く関わらないであろう人種とこの空間に2人っきりなことに胸がざわつく。

『あ、おはよぉ』

以外にも普通に挨拶してきた。
ああいうタイプの人は私みたいな子は視界に入れず、空気のように扱うものだと思っていた。

私が圧倒されて挨拶も返していないのを気にも止めず彼女は続けた。

『1限移動教室だっけぇ~?』
『ぁ、体育……』
『あー、そっかぁ~。そうだったかもぉ』
『……』
『あれ、二限もだっけぇ?』
『ぁ、うん』
『まじかぁー』

そう言いながら彼女は私の隣の席に座った。
あれ、この人この席だったかな?

『ねぇ』
『ぇ、あ、はい』
『あたし、あおい。君は?』
『え』
『名前』
『ぁ、高木…です』
『高木さん?』
『……』

なんでこんなに話しかけられるのだろうか。
私は戸惑っていた。

昔から目立たないように空気のように
人と関わらないように過ごしてきた。
滅多に無い出来ごとにどこからともなく不安が押し寄せてくる。

『なんか、ごめんねぇ』
『ぇ?』
『ちょっと怯えてるでしょ』
『ぁ…』

図星で咄嗟に否定ができなかった。
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