狼先輩と私の秘密
赤西奏汰と仲のいい大原優馬【オオハラ ユウマ】も美形なもんだから、この学校で一番目立つ2人といってもいいくらい。
人を惹きつける魅力があるにもかかわらず、簡単に彼には近づけない。
彼に近づいていくのは自分に自信満々な女の子か、好奇心旺盛な男子くらいだ。
ま、そんな気なんて私にはないから関係ないけどね。
「さっきね、奏汰先輩見かけたよ! いつみてもカッコいい…」
「んー」
「でもあたしは優馬先輩のほうがタイプ」
「それ何回も聞いたよー」
同じクラスで親友の羽崎未香【ハザキ ミカ】の声に生返事を返した。
未香とは中学のころからずっと一緒にいる、大切な親友。
お姉ちゃんぽくてサバサバしてるけど、いざというときにはいつも助けてくれる。
実は優馬先輩が好きなのを知ってるのは私だけ。未香は隠してるつもりなんだろうけど。
そんな優馬先輩大好き未香ちゃんには悪いけど、私は興味がない。
学年が違うから話したこともないし、ましてや自分から近づきに行くわけもない。
遠くからみてるだけ。
でも…。