私-前編-


…そろそろオープンの時間だ―…


会話は弾んでいたが、
『そろそろ行こう?』と言った。


しかし泉さんは同伴なら10時までに行けばいいやろ?
と言ってまた焼酎を頼みだした―…


私は少しイラっときたが、泉さんはいつもの事なので、仕方ないと諦めつつ、また会話を楽しんだ。



そしてようやく泉さんが
「行こ」って言ってくれたので、店を出た。


泉さんはタクシーを止めると、店の場所とは少し違う所を運転手さんに伝えて車は走り出した―…



『…店は?』

私は静かに聞いてみた。


「まだ少しだけ時間あるやろ?」


『…………』


そしてタクシーの運転手さんが、“着きましたよ”と声をかけ、降りてみると、小さなホテル街だった―…


< 110 / 345 >

この作品をシェア

pagetop