私-前編-
…そろそろオープンの時間だ―…
会話は弾んでいたが、
『そろそろ行こう?』と言った。
しかし泉さんは同伴なら10時までに行けばいいやろ?
と言ってまた焼酎を頼みだした―…
私は少しイラっときたが、泉さんはいつもの事なので、仕方ないと諦めつつ、また会話を楽しんだ。
そしてようやく泉さんが
「行こ」って言ってくれたので、店を出た。
泉さんはタクシーを止めると、店の場所とは少し違う所を運転手さんに伝えて車は走り出した―…
『…店は?』
私は静かに聞いてみた。
「まだ少しだけ時間あるやろ?」
『…………』
そしてタクシーの運転手さんが、“着きましたよ”と声をかけ、降りてみると、小さなホテル街だった―…