私-前編-
それからすぐに電話がかかってきた…―
アキだ―…
いや…
マユかも知れない…
出るか迷ったが、通話ボタンを押した。
『もしもし』
「亜美か?」
…――アキだった。
『うん…』
「どーしてん?」
とても懐かしい優しい声…
『今…お客さんと…ラブホにいるねん…
もぉ…終わりや。
…マユと幸せになってな』
それだけ言うと電話を切ろうとした…
「亜美!!切るなよ!
今どこやねん!!」
鼓膜が破れるんじゃないかと思った―…