私-前編-
部屋に入るとアキは会えなかった時間を埋めるように激しくキスをしてきた―…
そしてゆっくり体を離すと今度は優しく抱き締めてくれた―…
「…ずっと…会いたかった」
『あたしも…』
「一緒に戻ろう。
ケン君も皆も心配してるで」
『………』
私はすぐにでも帰りたかった。
だけど…まだ帰る事は出来ない…
『ごめん…無理やわ』
「何でやねん!?
…お前客とおるって何してんねん?」
『………………』
「お前オレにも話せへんのか?」
『…ごめん…忘れて。
助けてくれてありがとう…
アキはマユと幸せになって。』
私は涙を堪えながら言った―…
「アイツとは別れた」
アキはふぅ〜と息を吐くと、静かに話し始めた。