私-前編-
気が付けば朝の5時を回っていた―…


私は静かに化粧をなおし、帰る用意をしていた。



「…亜美?」

アキが起きてきて、優しく後ろから抱き締めた―…


『あたしなぁ……
寮に戻るわ』


アキの方を見ずに言った。


「‥えっ?…一緒に戻るんちゃうんか?」


アキは私を向かい合わせにした。


『…ごめん…今はまだ戻れへん…
だからアキは一人で帰って…』



「そんなん嫌や。
俺は亜美とはもう離れへんって決めたんや」



アキ…その言葉―…

嬉しいよ…



嬉しいけど………辛いよ。



『…ごめん…』

私は俯いたまま謝る事しか出来なかった。


それでもアキは一人では絶対帰らないと言い続けた。


『あと…一ヵ月‥一ヵ月頑張ってオーナーに恩返ししてから帰る。』


私はアキを説得したが、アキは納得してくれなかった。




沈黙が続いた―…
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