私-前編-

しばらくすると私達は家に着いた。



遠いと思っていたけど、結構近いんだなぁ―…



車を停めると兄と智君は荷物を運んでくれた。



私は智君に“ありがとう”とお礼を言うと、智君は

「今度デートしてな」

と笑いながら言って帰って行った。


私は智君の車が去った後も、ボーッと立っていた。



マンションに入れない…




そんな私を見た兄が下まで来て、
「帰るぞ」と言って私は腕を掴まれ、私は家に帰った。






ガチャ―…

「ただいまぁ〜」

兄が言うとママは急いで玄関まできた。


ママの目は真っ赤で、少しやつれていた―…



私は下を向いて無言で玄関に立ち尽くしていた。


ママは優しく「おかえり」と言って私を抱き締めてくれた。



『ママ……ご‥めんなさい…』

私は泣きそうなのを我慢しながら言った。


「帰ったらただいまでしょ」


ママは笑いながら言った。


その言葉に私は我慢出来ず、泣きながら『ただいま』と言った。


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