私-前編-
俺は煙草に火をつけながら言った。


『まだケン君は知りません。メグさんの出方次第です。吉田は警察に被害届け出す言うてるし、車のナンバーや車種も覚えてます。
吉田の今の顔面の傷とかも写真に残してますし。』



「ちょー待って?マジわからんねんけど?」



まだとぼける気かよ…


時間がねぇんだよ…


『じゃあ被害届け出して、犯人ケン君に協力して探してもらいますわ。
ケン君まだ知らんけど、知ったら何するやろなぁ………あっ、関係ないのに疑ってすいませんでした。』


それだけ言うと俺は立ち上がった。


「…………んとぃて…」


『えっ?なんすか?』

俺はわざと聞き直した


「………ッッ……」

メグさんは泣いてるだけで何も言わなかった。



何泣いてんだよ…


泣く位なら最初からするなや。


泣いてる意味がわかんねぇ。


『じゃあ。帰ります。』

俺はイライラでたまらなかった。


「…待って!!話すから‥」


『……なにを?』


俺は冷静に言った。




「…実は…―――」
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