私-前編-
「やーッッ―…」

ナツの病室からすごい悲鳴が聞こえてきた。


その声に驚いた私とアキは部屋に向かった。


『ナツッッ!!ナツ…』



ナツは激しく混乱していた。


「なんで助けんの…
なんで…死にたい…
もう嫌や‥‥」


私は涙を流しながらナツを抱き締めた。


『…写真とネガな、取り返してな、処分したから…』


ナツはその言葉に
えっ?って言う顔をしながら私を見ていた。


『…ごめん…アキにだけ話した…』


そう言うと私は、すべて話した。


犯人の女を私が知っていた事…―


アキも知っていて夜中に一人で取り返しに行った事…



ナツは最後まで黙って聞いていた。



「ありがとう。‥でもヤラれた事に変わりはないやんな。
うち…汚れてしまった…
その女が…ケン君に話したら…うぅっ…」



『そうやな。ヤラれた事には変わりない。
けど、ナツは汚れてなんかないで。
兄ちゃんにもし言ったとしても、兄ちゃんも汚いなんて思わんと思うで!!
ナツの辛かった事も全部受け入れてくれると思うで?』



私はマナに強く言った―…


「……ッッ…ありがとう…」

ナツは泣きながら言った。


その時病室の扉が開いた。

ガラララ―…

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