私-前編-
“見えますか?この小さいのが赤ちゃんですよ〜”



えっ?



こんなに小さいの?






私は下着をつけると、また診察室へ行った。


“どうしますか?”



優しそうな女医さんが、少し厳しい表情に変わった―…



ナツが大人なら、この女医さんは優しく“おめでとうございます”と言ってただろう…。



ナツは俯いたまま
「少し考えます」と言った。


すると女医さんは
“大切な命やけど、産んでも育てる自信がないなら今回は諦めなさい。よく考えてね。”


と、厳しい表情のまま話した。



ナツは「はい」と返事をすると1枚の赤ちゃんの映った白黒の写真をもらって診察室を出た。




診察室から出てきたナツの表情から亜美は妊娠していたんだ…と感じ、何も言わずにナツとナツの家へと向かった―…



< 187 / 345 >

この作品をシェア

pagetop