私-前編-
追込
「…―ナツが…道路に…飛び込んだ…―」
電話はナツの母からだった。
ナツはあの後一回家に帰ったが、母に“散歩してくる”と告げると、何も持たずに出て行ったらしい…――
私は愕然とする兄を連れて急いで病院へ向かった―…
ナツ…
辛かったんだ…
私はナツは強い子だと勝手に思い込んでた…――
ナツは弱いんだね。。
何にも気付かなくてごめんね…
神様……
ナツを助けて下さい…
私と兄は急いで病院へ向かった。
病院へ着くと受け付けで確認し、ナツの病室まで向かった―…
病室の前にはナツの母が座っていた。
私達は近づいてくと、ナツの母は目を真っ赤に腫らし静かに話だした―…
「来てくれてありがとう。…あの子‥お腹に赤ちゃんが…居たみたい…でも‥助からなかった…」
隣に居た兄は驚いただろう…
『…ナツは?』
「…命に別状はないって…」
「大丈夫なんですよね?」
今まで黙っていた兄が言った。