私-前編-

「何回もノックしましたが?」
ニヤニヤしながら顔を近付ける兄。


『全然気付かんかったわ』

恥ずかしくて冷静なフリをするのに必死だった。


「アキの事ばっか考えてるからやん」


兄が茶化すように言う


『はぁ!?…そんなんちゃうわ!!!』


声裏返ってるし…


図星!?


「ムキになんなって!
しかしアイツ男前なったよな〜彼女おらんらしいべ!」


『あっそ!てか聞いてないし!』



「お似合いやと思うけどなぁ〜お前ら!
じゃあな♪」

バタン―…


それだけ言うと兄は鼻歌を歌いながら部屋を出て言った―‥



…彼女……


おらんねや…


…兄ちゃんわざわざそんな事言いにきたんかよ……




はぁ………







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