私-前編-

「…ごめん」


アキは素に戻ったのか私を優しく抱き締めた…―――



『意味が…わからん…』



私はポツリと呟いた。



アキは小さく笑うといつものように私の頭をクシャっと撫でた。


『もうアキなんてキライ』


いつもの口癖だ…―



もちろん本音なんかじゃない。



アキもわかってるから、いつも笑って頭を撫でながら「ハイハイ」って言う…―


そして
「俺は好きやから」って…





私があんな事言わないで素直に『好き』って言ってたら、ずっと隣で頭撫でてくれた??





私はアキが居ないと生きていけない…



何度そう思っただろう…





言葉って難しい…―――






だけど





その言葉は言わないと相手には伝わらない…――






この頃の私は言わなくてもわかってくれてる。



そんな勝手な考えしかなかった‥―――




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