私-前編-


ギュッ…―――


アキが私を強く抱き締めてくれた…――



思わず私もアキを抱き締め返した。



「亜美の温もり…忘れへんからな」



アキはそう言うと力を緩めて私から離れた…―――



そして


「またな」




そう言うと一人歩いて行った…――




私は追い掛けたかったが、足がすくんで動けなかった…





本当にサヨナラなんだね…――






行かないで…



待って…



行かないよって笑って言ってよ…――




これからは誰が私の頭を撫でてくれるの?



私の気持ちを一番に考えてくれたアキ…――



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