私-前編-
アキは…――
居なかった……―――
ナツと兄の姿が見えた。
ハァ…ハァ…
こんなに走ったのいつぶり?
私に気付いたナツが近づいてきた。
「高原…さっき行ったわ…」
『アキ…ッッ…アキーッ…―』
私はその場に泣き崩れた…―
と、同時にお腹に激痛がはしった。
「ケン君!!亜美が…っ」
私は必死でお腹を押さえた…―
ナニコノイタミ…――
意識が遠退いていく…――
慌ててかけ寄った兄に抱えられてタクシーに乗り、病院へ向かった。
「どちらまで?」
タクシーのおじさんが聞いてきた。