私-前編-
「じゃあ両思いやん。
ここは男としてケン君から告るしかないっしょ!!」

アキが煙草を消しながら言った。



『私もそー思う!!』




「……そっか‥
なっちゃんも‥
俺の事‥‥‥」


兄は私達の話など聞かず一人でブツブツつぶやいていた…



「『……きもっ』」

私とアキの声が揃った―


「なっ…なんでやねん!?
きもいて……」


兄がヘコみながら言う。


『ナツ私の部屋で待ってるから行って!
……あっ!変な事だけはしんといてやっ』


「すっ!…するかよ!!」


バタン―…

兄はそう言うと顔を真っ赤にしながらナツが待つ私の部屋へ向かった―…



ハッ―…

私は勢いのあまり言ってしまったが、残された兄の部屋には私とアキの二人きりだと言う事に今更ながら気付いた―…






「……………」

『……………』


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