私-前編-
“………………”
『………………』



ナツと兄がうまくいってる間も、こっちでは沈黙が続く―……



どーしよ………
何か喋った方がいいよ…ね……?



「なぁ…」
『あの…』


同時に発した―…


『…なに?』

「お前から言えよ…」


『えっ…イヤ』


何を話せばいいかなんてわからなかったんだ。


「はっ?何やねん‥ソレ‥」

『………』


「まぁいいわ。
‥お前…何で松に‘亜美’って呼ばれてんねん?」



ん…―?!


もしかして…もしかしてアキ


‥嫉妬……??



『‥中学入ってすぐの頃に一瞬だけ付き合ってたから…』



そう―…
入学した頃の、周りの友達との会話―…


小学生の頃はどんな漫画がおもしろいだの他愛もない話でも盛り上がったが

中学に入った瞬間周りの皆は乙女になっちゃって、誰が格好良いだの好きだのと言う話ばかり―…



私は会話についていくのに必死だった。



そんな時―

学年でも人気があった松に告白されて、なぜか周りが盛り上がって付き合ったのだ―…


だけど、いざ付き合ってみたものの、手すら繋がず気付けば終わっていた―…


変わった事は付き合った瞬間‘渡辺’から‘亜美’に呼び名が変わっただけだった―…


今では普通に話す友達だが、松は私の事を‘亜美’と今も呼ぶ―…


私も周りも別に気にはしていなかった―…



ただ…アキは…アキは違ったみたいだ―…


私は嬉しかった―…


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