私-前編-

コンコン……ガチャ―…


「電気もつけずに何やってんねん…」


兄が来たと思っていたのに、部屋に入ってきたのはアキだった―…



『つけんといて!!』

電気をつけようとするアキに私は言った。


ふぅっとため息をつき、暗い中アキが私の隣に座り、優しく頭を撫でてくれた。


泣かないようにと我慢していたが、無理だった。

アキは私が落ち着くまで優しく抱き締めて頭をずっと撫でてくれた―…



ねぇ、アキ?


あなたは誰に何を聞いて、何を思っていたの…?



私はあなたが離れていくのが怖くて逃げた…




河川敷にいる時にあなたに電話すれば…



こんなに心配かける事はなかったかな。



アキ…ごめんなさい



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