私-前編-
「今マユと付き合ってる…」
ナツは私がきつく言ったにも関わらず優しい口調でゆっくり話してくれた―…
「んでな、ケン君が…
高原を…
ボコボコにしてん。」
私は言葉が出なかった。
「理由をケン君に聞いても何も言ってくれへんねん。
…でも、アイツはいっこもやり返してけーへんかったって…」
ナツの話を聞き終えた私は携帯を取ると兄に電話をかけた―…
プルルルルル―…
「どした!
何か欲しいもんでもあるんか?」
兄は私が何も知らないと思っているので普通に接してきた。
『アキの事やねんけど』
私がそれだけ言うと電話は切られてしまった。
それから何回かけ直しても兄は出なかった―…