私-前編-
夜は毎日家へ帰って居たが、相変わらず学校へは行かずフラフラしていると、さすがに父も黙ってはいなかった…




バッッチーンッッ―……



いつものように遊びから帰った私は父に思いっきり叩かれた―…


いつもなら、兄が父の代わりに私を叱るが、兄は最近の私の行動に呆れたのか何も言ってこなかった―…



いや、私は言われないように逃げていたのだ…


「お前はいつまでこんな毎日毎日フラフラしてるつもりや!」

怒鳴る父を前に私は何も言えなかった―…




「…出て行け」


父が静かに言った―…






私は無言で部屋に戻り荷物をまとめていた。


「家の物は自分の物じゃないやろ。出て行くなら今すぐ出て行け」


と言った。


私がこの時素直に謝れば許してもらえたかもしれない―…




だけど、この時の私は全てに嫌気をさしていた―…


私は無言で家を出た。


母は必死で私を止めようとしたが、それを父が止めた。



そして、いつも助けてくれる兄も、この日はまだ帰ってなかった。

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