私-前編-
どのくらい時間が経ったのだろう。



周りは真っ暗になり、古い街灯だけが小さく光を放っていた。


携帯を見ると1時を過ぎていた―…


何度も何度も兄とナツとママから電話がかかってきていた。




私は一度も出る事はなかった…



あまりに大量の着信で充電がなくなりそうになった時、美優から一通のメールが届いた…

“電話して”


私は何だろうと思いながらも美優に電話をかけた―…

「もしもし。亜美?」


いつも優しい口調の美優だったが、この時の美優はなんだかとても疲れきった様子だった―…


『どしたん?』

「シンナーがな…メグさんにバレて…
見つかったらしばかれる‥」


私の町ではラリ禁(薬でキメる事)で、バレるとボコボコにされる―…



その中でもメグさんは本当に危ないらしい。


何人もの人が病院送りにされていた…。


「だから…あたし…飛ぶわ。」


美優…




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