滝本くんのHPが10を切りました。
「いや、あの、特に意味はないんです、はい」
蘭ちゃんの背中にギュッと顔を押し付けながらそういうと、
「ちょっと、」
と蘭ちゃんが言った。
「あ、ごめんね」
蘭ちゃんの言葉が私に向けられて言ったものだと思った私は、慌てて蘭ちゃんの背中から離れる。
そんな私に蘭ちゃんは、
「いや、菜乃花じゃなくて。あなたよ。近い」
と言って藤田くんを見る。
「あ、俺?ごめんごめん。まさかそんな嫌がられるとは思わなかったなー」
両手を胸の前に上げ降参ポーズをしながら少しだけ後ずさった藤田くん。
「いやー、まさか俺に近づかれてこんな反応する女子いるとは」
蘭ちゃんの反応が珍しかったのか、そう言った藤田くんに
「みんながあなたに近づかれるとうれしがるとでも?自意識過剰なんじゃないの」
と蘭ちゃんは返した。