滝本くんのHPが10を切りました。
「はい、じゃあちゃんと世話しろよ」
先生はそう言って子猫を滝本くんへと手渡す。
手渡された子猫は滝本くんの制服に爪を立て、上へ上へとよじ登ろうとする。
「あの、ほかの猫の貰い手は……」
よじ登る子猫の頭をなでながらそう聞いた滝本くんに先生は、
「ちゃんと貰い手見つかったらしいぞ」
と答えた。
先生のその言葉を聞いた滝本くんは、表情には出さないもののホッとしたように、
「そうですか」
と呟いた。
その後別のクラスの女子二人が子猫を引き取りに来ると、女の子たちは
「滝本くんの猫と私たちの猫、兄弟だね」
なんて嬉しそうに言った。
その言葉を聞いて、少しだけモヤッとしたのは言うまでもなかった。