学園ディストピア

ガキッ、とかポゴォッ、とか結構えげつない音がしてます。

鈍い音がして次々と上級生を殴り倒していく姿は狂気の沙汰、流石の上級生たちも容赦ない拳と蹴りにビビったのか、那珂から距離を保ったままだ。



「・・・弱っ」

那珂はまた、ゆらりと上級生たちに背を向けた。

「う、うおおお!」

上級生の1人が那珂の後ろから襲いかかるが、その右拳が那珂に届く前に殴り倒されていた。

こいつ、やべーわ。

呆然として見ていた俺と襲われていた2人も我に帰る。


上級生たちは逃げていった。やはりやっていたことがコトなので那珂が告発されることはないだろう。


那珂は手応えが無さすぎてつまらなさそうだったが。



「あ、ありがとな!助かった」

助けに入って一緒に捕まった黒もじゃ眼鏡のおっちょこちょいさんが那珂に向かって言った。

声でかいな、こいつ。


「俺は春日旭(かすがあさひ)!お前なんて言うんだ。」


だが、那珂は無視だ。
興味もないといった風で歩き始めた。

「あ、おい、名前教えろよ!」

それを引き止めようとした春日旭が那珂の手に触れた瞬間。


「うざ」

バシと手を払った。
凄い迷惑そうな顔してる。

「な、名前は?」

しかし、この春日旭、しつこいな。

「お礼したいし!俺捕まえてもいいよ?」

この子ちょっと変?

俺だったら心おれてるわ。強すぎる。

それに、多分那珂は助けるためにやった訳じゃないだろう。

ただ、殴りたかっただけじゃないのかなぁ。



「名前だけでもいいじゃん」

なんか、面白くなってきたこの春日旭。那珂もイライラしているようだ。

「は、なに?そんな俺の名前知りたいわけ?」

さっきの上級生どもを見る目と同じだ。嘲るような笑いかた。
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