学園ディストピア
「よくねーから、てか、そいつ見た感じ普通じゃね?」

まじまじと覗き込まれて困惑する。

俺だってなんでここいんのか理解出来ない。

「あ、俺、新庄正宗。那珂国弘とはガキの頃からの付き合い」

警戒心丸出しながらも俺に向かって言われてることに気づいて慌てて答える。

「あ、まみやしんやです。」

ヤバい、動揺しつる。こんな目付きの悪い人らに囲まれて普通ではおれんよ。

「あ、あの、俺教室戻るんで・・・」

もう、ほんと、なんなんだよ。
俺は帰りたい。


言うと那珂は好きにしろという感じだった。

ほんと、なんで俺を連れてきたんだお前は・・・とは言えず、すんなりこの場を脱出することに成功した。





ふう。

教室、どこだろ。



どうにかこうにか教室にたどり着いた頃には生徒たちが体育館から戻った所だった。


「あれ、雨宮?どこいってたの?」

茶髪の金剛がすぐに俺の姿を見つけてくれた。知り合い居ないからなんか、ホッとする。


「あ、えーと。逃げてたら迷って・・・」

あれをどう説明してよいのやら。


「今年は逃げ切ったのは5人だって、すごいねー。」

聞きながら自分の席を探す。
やっぱり1番前か。あまみやだもんな。


「金剛は捕まったのか?」

「知り合いの先輩と打ち合わせしといてね。」

ずるいぞ。俺がどんな気分でいたなんてしらないんだろうな。那珂さんといるだけでバツゲームみたいなもんだ。


「なるほど」

「で、誰に捕まったの?」


金剛はさも当然のように聞いてくる。

「知ってるかどうか分かんないけど・・・那珂さん」


そう言った瞬間、教室の中が静まりかえった。


え?


なにこれ?


さっきまで仲良さげに雑談してたひとたちも一斉に青ざめた顔をしてこちらを見ている。


え、那珂さん有名人?



「それ、マジ?」



頷くしか無かった。
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