学園ディストピア
思わず笑ってしまう。怒り通り越して、呆れて言葉も出てこない。


「やめろよ!」


突然、すっとこどっこいが叫んだ。
いや、俺の話遮んなよ。腹立つなコイツ。


「っ!でもこいつは旭を!」


だから、俺はその旭になにをしたんだ。


「だから、なんでそうなんだよ!」

すっとこどっこいが言う。うん、なんでこうなったんだよ。茶番もいい加減にしてくれ。


「こいつは那珂といたんだろ?あの男はどうしようもないクズじゃないですか!同類に決まってる。土人のようにきにいらなければすぐ殴る、知能の低いゲスが・・」

副会長の言葉に頭の中でなにかが、プチリと切れる。

「あのさ、」

いや、俺のことはいいよ。
全然よくないけど。

だけど、チャーハンとラーメンの恩がある俺は那珂さんが悪く言われるのはちょっと癪。てか、ムカつく。


「副会長、あんたの方が非常識だって分かってる?理由もなく、人殴る副会長も最悪だよね。」


「それはっ、あなたが!」

「一回聞くけど、俺、こいつに何した?あと言うけど、あんたらの名前も知らないんだけど」


正確には名前も忘れた。副会長は桜なんちゃらだったような。



「しかし、旭がっ」

「旭?このすっとこどっこいのこと?」


俺がすっとこどっこいを見下ろす。

「あ、ああ」


すっとこどっこいが頷いた。

「その彼が何て言った?」


「その、那珂とあなたに襲われたと」


ふむ、歪曲されたのか?
副会長が答えを聞いたので、すっとこどっこいの方を見る。

「俺はただ、襲われてるやつを見つけて、その時に見たイケメンの那珂ってやつに会いたいんだけどって」

このすっとこどっこい、日本語とばしすぎだ。

「それを鵜呑みにしたのか?副会長さんは?」

「他にどうとれると?」

まあ、その説明だけじゃ
俺にだって分からない。




「ひとつ、俺と那珂さんが一緒にいたのは、俺が那珂さんに捕まったからで、丁度現場に居合わせた。

ふたつ、その旭ってのが襲われてる新入生を助けようとして、逆に一緒に犯人たちに捕まった。

最後、俺は先生に連絡しようとすると、犯人たちに見つけられる。俺が犯人に殴られそうなとこを那珂さんが助けてくれました。おわり。」


多少誤魔化したけどこんなもんか。


「では何故すぐに報告しなかったんです!」

俺が悪いのか。どう考えても悪いのはすっとこどっこいの日本語力と副会長さんの読解力です。ありがとうございました。
< 18 / 34 >

この作品をシェア

pagetop