学園ディストピア

そびえ立つ門。


これは何だ?

いや門だ。門に違いない。



だが、この金メッキの装飾がいるか?
学校という組織において。


俺は地面に両手をついて嘆きたい気分だ。もちろん心の中でだけど。




明日は入学式。

晴れて俺も高校生☆
なんてテンションでもなく、突っ込みのすでにおいつかない過剰装飾気味の門のテンションについていけない。



「だいたい、学業においてこんなものは必要か?いや必要ではない。」

まず、そもそもな話、なんで俺はこんな高校にいかにゃならんのだ。


エスカレーター式の高校ということもあってか、門から入っていく生徒は殆どいない。

特別編入枠というやつらしい。




「これから、これからどうすべきなのだ・・・俺は」


猫背気味になりながらも門をくぐると、そこは雪国でした。おわり。





ではなく、お迎えの先輩がいらっしゃいました。


「こんにちわー、新2年の若山だよ。よろしくね」


右手を差し出してきたのは俺より背の高い男。目はちょっとたれ目だがぱっちりとしていて世に言うイケメンという、やつなんだろうな。

しかも茶髪。茶髪こわい。


「えっと、どうも。編入の1年になります。雨宮です。」


適当に手を握り返す。

じいっと手を握ったまま顔をのぞきこまれる。

イケメンにこんなに見つめられると照れるじゃないか////・・・・と思う筈もなく、不躾な態度に少々苛立ちを覚える。


まるで、品定めするかのような。


若山先輩は得心したように頷いた。

「うん、大丈夫そうだね」


うん、なにが?


「なにが、ってねー。ここって色々危ないんだよねー、色々ねー。」

なんだよ、その色々って。

幽霊とかでんの?
あ、不良多いとか?


「うん、びっくりされると困るんだけどさ、ここだけの話・・・」


「ちょっとまって先輩、心読めるんですか?」


そう言うとプッと若山先輩が吹き出した。


「顔に全部出てるよー。大体外部からきたこ達が思うことはおなじだしね。」

ということは外部生は少なからずいるのか。



「まずは、女の子みたいに可愛いかったり、ちっちゃかったら危ないよね。あと大人しいかんじの子とか」

「いじめとか、そういうのっすか」

「勿論いじめじゃないよ。イケメンだったり、綺麗な顔をしてもアウトだね」

「それは青いつなぎを着たいい男とかそういう意味でしょうか?」


思わず呟いたら若山先輩は困ったように笑う。


「青いつなぎ?」


慌てて訂正しておく。

「いえ、こちらの話です。『それは性的な意味でしょうか?』ということです」


冗談のつもりで言ったのに先輩は困惑したまま笑っていた。


「そう、性的な意味で危ないんだよね。」




・・・パルドン?

ホモかよ勘弁してくれ。



「それは、この学園は・・・校則では 恋愛禁止となっていましたが」


一応確認だけしとく。

私立の学校というだけあって生徒手帳を見たら「恋愛禁止」とあった。

ばーろー、男子校で恋愛禁止て校則いるかよ、とツッコミを入れたので覚えていたのだ。



「まあ、そんな校則あってないようなものでしょ?どこでも。安心して欲しいのはゲイとかは殆どいない、かな。」

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