学園ディストピア
俺は保健室で手厚い手当てを受けた。そして、教室に戻った時にはロングホームルームの真っ最中でした。

「お、渦中の雨宮が帰ってきたぞ!」

やはりクラス内はその話題で持ちきりで、俺は頬をひきつらせた。ピクピクしてるのが自分でもよく分かる。

「で、何があったんだ?」

男子みんなに囲まれる。まあ、殴られたし何が起きてんのか気になるわな。

おれだって、知りたい。

担任の遠藤先生の方を見ると、困ったように笑っていた。助けてはくれないらしい。

「みんな席戻りなよ、雨宮と先生が困ってる」

金剛が言うとしぶしぶ散らばる生徒たち、

俺は遠藤先生の前まで行って、遅れた理由を報告する。

「すみません、保健室にいたので遅れました」

「わかりました、色々と事情を聞きたいので昼休みに社会科準備室へきなさい」

事務的だったが遠藤先生の声には優しさが籠っていた。気がする。

席につくとロングホームルームの時間で、委員を決めていることを金剛から聞かされる。

「で、委員?」

じゃんけんで買った人から好きな委員を決めることが出来る。

けっこうほのぼのと進行されていた。委員長はもう決まってるらしい。

大抵二人一組で、人気なのは視聴覚委員やら、選挙管理委員・・・逆に不人気なのは体育委員や保健委員、図書委員だ。

前者は仕事が楽であり、後者は比較的活動が多い。

「で、俺と金剛が人権委員?」

人権委員、てなに?
聞いたことない。

「風紀と一緒に仕事すること多いんだよ。問題が多いからね。文化祭の内容チェックとかいじめ撲滅とか・・・最大の課題は強姦取り締まりかな?」

「なにそれ、めんどくさい」

というか、そんなものを設置するほど多いのか強姦。流石にドン引きやで。

「でも、疑いを晴らすにはもってこいでしょ?」

確かに。

「・・・ありがとう、金剛」

「いいえ、どういたしまして。」


なるほど、人権委員ね。
めんどくさいけど。

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