学園ディストピア

お昼休み、


俺は社会科準備室へ向かった。

「失礼します」

「雨宮、昼は食べたか?」

思いの外遠藤先生は朗らかで安心。呼び出されるというのは少し不安があるものだから。

遠藤先生は他の先生たちになにか言いながら立ち上がる。

「じゃあ、隣の部屋お借りしますね。」

俺に来るように指示してきたので、俺は素直に遠藤先生の後に続く。

社会科準備室といっても、先生たちの研究室のような部屋で、大抵の先生がそれぞれ担当の部屋に籠ってる。

その奥に扉があって、1つは社会科室、もう1つは倉庫になっている。今回入ったのは倉庫の方だった。

倉庫といっても机と椅子が準備されていた。

懇談でも使ってるのかも。

「そこ、座って」

「あ、はい」

何を聞かれるのかとドキドキしている。やはり、こういうのは緊張するものだ。いくら遠藤先生がおっちょこちょいでも。


「えっと、僕は事情をよく知らない。何故、桜沢くんが君を殴ったのかわかる?」

「分からないです。俺の予想では誤解だと思います。」

「では強姦事件というのは、何があったのかな?」

「細かく説明すると長くなります。とにかく、俺は新入生が上級生数人に襲われている所を偶然見ただけです。そこにあの、なんちゃら旭ってやつが助けに入って、一緒に捕まってしまったので、俺は職員室に言いに行かなくてはと思いました。」

「それで?どうして来なかったの」

「俺も犯人に見つかってしまって、一緒にいた那珂さんが、まあ、暴れちゃって・・・犯人たちは逃げていきました」
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