学園ディストピア
ギャーーーーーーーー


つんざくような悲鳴。おお。これが親衛隊。

確かになよった男たちが大奥のように花道を作っている。アイドルかな?

今日は食堂でのお食事です。

「これが、噂の親衛隊」

俺の声もかきけされる、けたたましさ。
金剛が横で言う。

「アナル開発済限定ね」

「それマジ?」

「所謂、肉便器糞ビッチども」

金剛さんは肉便器達に恨みでもあるのだろうか。口がお下品ですよ。あと、ビッチではなく男です。

「あのさ、正直なとこどうなんだろ?」

後ろの穴にINされるわけでしょ?
流石の俺も知ってるよそれぐらい。

「え、雨宮そっち?」

右手を顎の下でしならせる金剛。

「んなわけないだろ、生物学的な好奇心」

「さあね、俺オンナノコしか好きだから。いれるほうはどっちでも一緒じゃね?」

「それが、普通なんだよなー」

あの旭ってやつや、副会長見てたらそのこと忘れそうになってたわ。怖い。

性的なことに嫌悪感はない。もちろん俺だって健全だ。

ただ、なんだろう、ホモに偏見はないけどどうしてもキモいって思っちゃうじゃん。ああいうの見せられたら。

数日前の強姦事件の光景が目に浮かぶ。

「ないわ、ない。」

「なにが、ないのよ。」





「あの、」

後ろで小さな声がして顔だけで振り替えると、これまた小さな男子がいた。小さいっといっても160はあるだろうけど。

見覚えないな。ネクタイの色から同い年であることは分かる。

「あの、」

何か言いたいのだろうが、いいにくそうだ。こんな子って狙われやすそう。あの親衛隊達とは違ったタイプだけど。

「なに?」

出来るだけ、声色は優しく。
小動物相手してるみたい。

「助けて頂いてありがとうございました・・・お二人が通りかかってないとどうなってたか」



もしかして

「えっと、こないだ襲われてたのって」

「あーーー!こんなとこにいた!」

この煩い声には聞き覚えある。

すっとこどっこい旭だ。

大股でこちらにずんずん近づいてくるとちっさい男子の腕をつかんだ。

「ゆずひ、一緒に行こうって言ったよな。どうして先いくんだよ?」

「だって、春日くん、生徒会の方達と・・」

「気にすんなって、ゆずひも一緒にいこうよ、それに旭ってよべよな!」

傍目から見れば美しい友情物語かもしれないが、このゆずひという少年本気で嫌そうだ。断ることも出来ないのだろう。

「でも、俺」

「約束したじゃん、行こ!」

どうやら、旭は俺には気付いてないようでゆずひ少年から離れない。
粘着されてるのかな?

「あの、でも」と「行こうぜ、約束だろ?」の押し問答の末、こちらを名残惜しそうに見るゆずひ少年はひきずられていった。そして10秒後 に食堂は大騒ぎになった。
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