学園ディストピア

「・・・?」

ホモがいない?どういう意味?

それで、性的にどう危ないのさ。どぅーゆーあんだーすたん?


「まあ、健全な男子高校生なら分かるんじゃないかな。殆どの生徒は女の子好きだよー」

「はあ」


単純な性処理的な意味で、ということか。ヤりたい盛りともいう。



・・・めっちゃただれてんじゃねーか。



ちょっとだけ不安になった。

本当に大丈夫か。ここ。




「大丈夫大丈夫、体育科のクラスにさえ気を付ければ・・・ヤンキークラスもいるけどそっちの意味では体育科よりは安全かも」

と先輩が笑っている。

なんだよ体育科。その有り余る性的なパワー全部スポーツで使えよ。馬鹿野郎。


因みに、体育科はガタイがいいのでもしもの時に逃げ出すのが難しいらしい。





まさか・・・先輩は既に・・・




等と聞ける筈もなく。

若山先輩はどっちかというとイケメンだ。もしかしたら既に掘削作業は完了されてちゃったりとかしないだろうか。

掘るよりは、掘られるという雰囲気がある。



「どうしたの?」


き、気になる。





若山先輩に案内されて職員室に入る。



「失礼します、編入生の雨宮をつれてきました。遠藤先生はいらっしゃいますか?」


入ったところの初老の優しそうな先生に声をかける若山先輩。俺も目があったので小さく会釈しておく。


先生は回りを見渡すと言った。


「遠藤先生はいないようだねぇ。そうだ若山くん、社会科準備室に行ってみたらどうかな?・・・雨宮くんだね、よろしく僕は古文担当の池本だよ」


すごく感じのよさそうな先生だ。
良かった。

茶色のスーツは少しだけくたびれているが、決して不潔というわけではなく安心感がある。



「ありがとうございます、社会科準備室に行ってみます。」

若山先輩も柔らかく笑って会釈した。俺は先輩について職員室を出た。

それでも職員室というだけで緊張感がある。学生にとっては当然かもしれないが。



「優しそうな先生ですね」

廊下でそう呟くと若山先輩も微笑んだ。

「すげーいい先生だよ。あの先生は図書館事務室によくいるから。定年されてるから講師扱いなんだけどねー。」

職員室を見た感じ普通そうな先生ばかりだった。

なんかホッとするわ。



「で、その雨宮くんの担任だけどねー。」

「担任?入学式まだですよね。」

エスカレーター式とはいえ入学式は一応形だけ行う。

クラス分けはその日に普通発表されるだろう。




「あー、実は朝から始業式あってね、クラスはもう決まってるんだ。1年も出席だからねー。」


もうほんとに入学式いるんだろうか。

明日は入学式だから、俺は事前説明のために呼ばれたわけだけど。



「で、その担任がどうしたんですか?」

「ちょっと問題ありかなー。まあ、悪い人ではないんだけどね。」


と、社会科準備室と書かれたプレートの下を山積みの本が歩いてきた。


本が・・・歩いてきた。



ドンッ、
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