学園ディストピア
「あれ、風紀委員の委員長」
金剛が言う。
風紀委員?
にしては派手な髪型とアクセサリーですね。鶏冠のようなカラフルな頭にピアスやらなんやら。
「今日こそはこのバスケの試合でこてんぱんにてめぇらをいためつけて、日々の生活態度を改めやがれです。」
派手な鳥頭の横にいた、紫のパッツンが言う。
あらやだ、この人達頭おかしいのかしら。しゃべり方が変です。
「と、言ってますが誰?」
金剛が答える。
「風紀委員の副委員長」
そして、
キャーーーーーー
生徒会に負けず劣らずのハイトーン声援。お前らどっから声だしてんだ。声帯の仕組みを教えろ。
「風紀委員も親衛隊つき?」
「そう」
風紀委員と聞いたヤンキー先輩らがげんなりしている。
「てめぇらが負けたら、風紀の下僕になりやがれです」
ちゅうにびょう、とか発症してそうだな。こっちの味方メンツを見るとす金剛の目が(こいつらの頭が)可哀想って言ってる。
「おい、おめぇら、ぜってぇ負けんじゃねーぞ」
こっちでは完全に挑発にのっている赤髪が鼻息を荒くしていた。こいつばかだ。
コートの真ん中に行って一列にならんで対面する。
相手チームは風紀の委員長の鳥頭、紫のパッツンの風紀の副委員長、そして同じく風紀のメンバーらしきイケメンたち。
その中の1人は右目に眼帯をして、両腕に巻いた包帯からなにやら怪しげな黒い文様が見え隠れしている。
委員長と副委員長が濃いせいであと二人はすごく印象薄い。俺のなかで。
ピッ、
ボールが宙に舞い、那珂さんがジャンプボールを軽々と押し出した。それを赤髪阪田が受けとる。
試合が始まった。
一応那珂さんも、阪田も新庄さんの言うことを聞いているみたい。指示どうり、新庄さんをこちらのコートに残して、残りの四人は攻めに入る。
相手チームがどれほどのレベルかどうか知らんが、こちらにチームワークはほぼない。
勝てる気がしない。
「阪田、回せ」
後ろから新庄先輩の指示が飛ぶ。ただ何も考えず突っ込もうとした阪田は回りを固められている。
那珂さんもその身長を理由に警戒されているのか、ガードが硬い。
金剛がノーマークだ。
俺は残りの気をそらすために動く、阪田がじぶんより後方にいる金剛に投げた。
金剛は直ぐ様ドリブルで迂回して近づこうとするが邪魔が入る。
俺は阪田と那珂に気をとられ過ぎな敵チームには気づかれないようにマークから外れて後ろに回り込む。
「雨宮!」
金剛のボールを受けて、すぐに敵チームのガードが崩れはじめたのが分かる。だが、阪田は完全にマークされてるし、金剛もここからは無理だ。
ふと那珂さんと目があった。
今なら那珂さんに回せる。俺は床を蹴った。
相手の足の間をバウンドさせて那珂にパスを出す。走り始めていた那珂はなんでもないようにボールを手にするとドリブルして、跳んだ。
黒髪がキラキラ光る。不思議とそれが綺麗だと思った。
ピッ、
笛の音が加点を知らせる。ボールはゴールを通過し、地面に落ちると冷たい音をたてた。
ダンクだ。
すごい、届くの?
普通届くの?流石那珂さん。
あまりに速い展開に敵チームの耳障りな応援団の声がピタリとやむ。
無音だ。
ピッ、
再開の合図が鳴った。
今度は紫のパッツンがボールを手にし一直線へ新庄さんのほうへつっこむ。めっちゃ速い。
そのドリブルから新庄さんはいとも容易く抜き取った。
「え、下手すぎだよね?」
笑いながら新庄さんは那珂へ投げる。
さっきゴールしただけあって那珂さんにはべったり2人が張り付いてる。
流石にうざったいのか、やはりノーマークの俺にボールが来る。なめられ過ぎやばい。俺は走って金剛の近くまで行きパスする。
金剛の前ががら空きだ。金剛が投げるが、風紀委員長がそれを許さない。
金剛は今度は赤髪にパスしようとしているのだが、がっつり囲まれている。
俺が気配を消して回り込み金剛からパスをもらう。
那珂さんに丸投げしようにもやっぱりガードきつすぎる。こうなったら、俺はつっこんだ、つっこんでゴールすると見せかけて、マークの外れた阪田に短いパスを送る。
ガゴン、
ピッ、
また、こちらが点をとった。
より一層親衛隊たちの声援が大きくなる。ここで彼ら風紀が負けたら親衛隊たちの楽しみが減ってしまう。それを避けたいのだろう。
また、俺にボールがきたが、今度は眼帯が前に立ちはだかった。
そして変なポーズを取る。
「大いなる悪、ルシファーよ!我に力を!」
なにこの子コワイ。
俺は後に来ていた金剛にパスをだす。金剛はゴールより遠いが、入らない距離ではない。
ピッ、
また点が入った。金剛がへらりと笑うと風紀の親衛隊たちがざわついた。金剛はイケメンだから。さっそく鞍替えする親衛隊たちの気も知れんが。
10点差になった時点で親衛隊たちの空気がおかしくなりはじめた。
あまりに風紀のメンバーがへたれなので不穏な空気が漂う。その中二キャラで一点も入らないのは痛い。
こんなにも手応えが無いとは思わなかった。それに新庄さんは練習の時の動きと全然違う。阪田も那珂さんもどんどん点を入れていく。
金剛が言う。
風紀委員?
にしては派手な髪型とアクセサリーですね。鶏冠のようなカラフルな頭にピアスやらなんやら。
「今日こそはこのバスケの試合でこてんぱんにてめぇらをいためつけて、日々の生活態度を改めやがれです。」
派手な鳥頭の横にいた、紫のパッツンが言う。
あらやだ、この人達頭おかしいのかしら。しゃべり方が変です。
「と、言ってますが誰?」
金剛が答える。
「風紀委員の副委員長」
そして、
キャーーーーーー
生徒会に負けず劣らずのハイトーン声援。お前らどっから声だしてんだ。声帯の仕組みを教えろ。
「風紀委員も親衛隊つき?」
「そう」
風紀委員と聞いたヤンキー先輩らがげんなりしている。
「てめぇらが負けたら、風紀の下僕になりやがれです」
ちゅうにびょう、とか発症してそうだな。こっちの味方メンツを見るとす金剛の目が(こいつらの頭が)可哀想って言ってる。
「おい、おめぇら、ぜってぇ負けんじゃねーぞ」
こっちでは完全に挑発にのっている赤髪が鼻息を荒くしていた。こいつばかだ。
コートの真ん中に行って一列にならんで対面する。
相手チームは風紀の委員長の鳥頭、紫のパッツンの風紀の副委員長、そして同じく風紀のメンバーらしきイケメンたち。
その中の1人は右目に眼帯をして、両腕に巻いた包帯からなにやら怪しげな黒い文様が見え隠れしている。
委員長と副委員長が濃いせいであと二人はすごく印象薄い。俺のなかで。
ピッ、
ボールが宙に舞い、那珂さんがジャンプボールを軽々と押し出した。それを赤髪阪田が受けとる。
試合が始まった。
一応那珂さんも、阪田も新庄さんの言うことを聞いているみたい。指示どうり、新庄さんをこちらのコートに残して、残りの四人は攻めに入る。
相手チームがどれほどのレベルかどうか知らんが、こちらにチームワークはほぼない。
勝てる気がしない。
「阪田、回せ」
後ろから新庄先輩の指示が飛ぶ。ただ何も考えず突っ込もうとした阪田は回りを固められている。
那珂さんもその身長を理由に警戒されているのか、ガードが硬い。
金剛がノーマークだ。
俺は残りの気をそらすために動く、阪田がじぶんより後方にいる金剛に投げた。
金剛は直ぐ様ドリブルで迂回して近づこうとするが邪魔が入る。
俺は阪田と那珂に気をとられ過ぎな敵チームには気づかれないようにマークから外れて後ろに回り込む。
「雨宮!」
金剛のボールを受けて、すぐに敵チームのガードが崩れはじめたのが分かる。だが、阪田は完全にマークされてるし、金剛もここからは無理だ。
ふと那珂さんと目があった。
今なら那珂さんに回せる。俺は床を蹴った。
相手の足の間をバウンドさせて那珂にパスを出す。走り始めていた那珂はなんでもないようにボールを手にするとドリブルして、跳んだ。
黒髪がキラキラ光る。不思議とそれが綺麗だと思った。
ピッ、
笛の音が加点を知らせる。ボールはゴールを通過し、地面に落ちると冷たい音をたてた。
ダンクだ。
すごい、届くの?
普通届くの?流石那珂さん。
あまりに速い展開に敵チームの耳障りな応援団の声がピタリとやむ。
無音だ。
ピッ、
再開の合図が鳴った。
今度は紫のパッツンがボールを手にし一直線へ新庄さんのほうへつっこむ。めっちゃ速い。
そのドリブルから新庄さんはいとも容易く抜き取った。
「え、下手すぎだよね?」
笑いながら新庄さんは那珂へ投げる。
さっきゴールしただけあって那珂さんにはべったり2人が張り付いてる。
流石にうざったいのか、やはりノーマークの俺にボールが来る。なめられ過ぎやばい。俺は走って金剛の近くまで行きパスする。
金剛の前ががら空きだ。金剛が投げるが、風紀委員長がそれを許さない。
金剛は今度は赤髪にパスしようとしているのだが、がっつり囲まれている。
俺が気配を消して回り込み金剛からパスをもらう。
那珂さんに丸投げしようにもやっぱりガードきつすぎる。こうなったら、俺はつっこんだ、つっこんでゴールすると見せかけて、マークの外れた阪田に短いパスを送る。
ガゴン、
ピッ、
また、こちらが点をとった。
より一層親衛隊たちの声援が大きくなる。ここで彼ら風紀が負けたら親衛隊たちの楽しみが減ってしまう。それを避けたいのだろう。
また、俺にボールがきたが、今度は眼帯が前に立ちはだかった。
そして変なポーズを取る。
「大いなる悪、ルシファーよ!我に力を!」
なにこの子コワイ。
俺は後に来ていた金剛にパスをだす。金剛はゴールより遠いが、入らない距離ではない。
ピッ、
また点が入った。金剛がへらりと笑うと風紀の親衛隊たちがざわついた。金剛はイケメンだから。さっそく鞍替えする親衛隊たちの気も知れんが。
10点差になった時点で親衛隊たちの空気がおかしくなりはじめた。
あまりに風紀のメンバーがへたれなので不穏な空気が漂う。その中二キャラで一点も入らないのは痛い。
こんなにも手応えが無いとは思わなかった。それに新庄さんは練習の時の動きと全然違う。阪田も那珂さんもどんどん点を入れていく。