○○するお話【中編つめあわせ】



食後、コーヒーでも飲もうかってなってお湯を沸かしていた時。
インスタントコーヒーが残りわずかな事に気付いて、吊り戸を見上げた。

ストック置き場になっている吊り戸。
小柄な私には、椅子がないと届かない場所。

「あの、恭くん。コーヒー、とってもらってもいい?」

ソファーに座って仕事の書類を見ていた恭くんが、私の言葉に「ああ」って立ち上がってこっちに来てくれる。

ソファーに置いた書類。
「これ?」って手渡されたインスタントコーヒーの詰め替えに思わず笑顔を浮かべていると、「なに?」って顔を覗き込まれたから。

背伸びをして、私からキスをした。

驚いた後、「なんだよ」って笑った恭くんに、こういうのなら背伸びするのもいいなぁって思った。


お互いに多分、まだまだ未熟で、優しくなれない時とかあって。
余裕をなくして、大事なモノを忘れちゃう時もあるかもしれない。

だからそんな時は、こうして、お互いに背伸びしたりかがんだり、できたらいいなぁって思う。

こうして、キスするみたいに。






END
2015.1.24~2015.2.1



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