オレンジジュース




「あ、有川君、体育は?」



とりあえず、どもりながらも質問を投げつけてみる。



すると有川君は私の隣に腰掛け、手に持ってるボールを見せてきた。




「これ、野球部のやつが思いっきり投げちゃってさー。外野の俺が花壇まで取りに来たの。」



ニカッと笑った顔が眩しい。



有川君は、クラスの中心人物で、いっつも明るい。

今みたいな爽やかで可愛い笑顔を見せられたら女の子は簡単に落ちちゃうに決まってる。



「そ、そうなんだ…」




ドキドキするんだよ、ほんと。




それにしても、なんだか有川君は、この場から動く気配がない。









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