オレンジジュース
実のところ、あたしは少し前から有川君のことが気になっていて。
戻らなくていいの?
とか聞くべきなんだろうけど、競争率の高い彼を独り占めできるこの状況。
いつも体育参加できなくて我慢してるんだし…
ちょっとくらい良い思いしてもしてもいいよね?
「有川君、暑いね。」
「な~、こりゃ温暖化進んでるわ~。」
汗を拭う有川君は、いかにもスポーツマンって感じで格好いい。
まだ、恋とも呼べないむず痒い感情が巡ってきて、火照るほっぺを冷ますために、今度こそオレンジジュースのキャップを開ける。が、
「あ、坂口良いもん持ってるじゃん!」
気づいたときには、オレンジジュースは手から消えていた。