二度目の恋の、始め方
prologue
「……私達、もう終わりにしよう」
放課後の教室。窓側の席に浅く腰掛けてグラウンドを眺めていた彼の視線が私を捉え、驚きと困惑の表情に変わる。
「は?何だよ、急に」
「ごめんね」
「いや、ごめんじゃ分かんねぇ」
俯いて泣かないよう必死で唇を噛みしめる。いつも冷静で落ち着いた彼の声が微かに震えているような気がして、正面から向き合うのを躊躇ってしまうほど。
「……好きな人が出来たの……」
「誰だよソイツ。同じ学年の奴か?」
「そんなの雄大(ゆうだい)に関係ないよ」
喉の奥から振り絞った弱しい声は彼に届いたのだろうか。夕日に映る雄大の影がゆっくり近付くにつれて、
私は罪悪感で押し潰されそうだった。
「……凛(りん)」
誰よりも私を大切にしてくれた彼を、最低の形で裏切る罪の重さに。