二度目の恋の、始め方

タオルを投げ、バッシュを履き直す。カゴの中からボールを取り出して軽くウォーミングアップを始めようとした矢先、ポケットに入れたスマホが振動した。着信画面を見ると、表示されたのはイツキの名前。

珍しいと同時に感じたのはナゼか胸騒ぎで、躊躇いながら通話ボタンを押す。


『……あ、雄大。俺だけど』

「ああ、何?」

『凛と連絡取れないんだけど、もしかして一緒だったりする?』

「は?……いや。知らねぇけど」

スマホを耳にあてながら体育館に設置された時計を見ると19時過ぎ。季節は11月始めで、日が暮れるのが早くなったせいか外はすでに暗い。こんな時間に連絡取れねぇってことはバイトか?……いや、明日選抜なのにそれはあり得ねぇか……。

『一緒にいたらそれはそれで複雑だけど。まぁ、知らないなら良いや』

「寝てんじゃねぇの。……つか、何で俺に聞くんだよ。関係ねぇって言ってんだろ」

『関係無いくせにキスはするんだ』

「…………」

『今日、凛が話してるの聞こえたから。困るんだよね。そういう軽はずみなコトされるとさ。フェアじゃないでしょ?』
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